クリスチャン・イェリッチはいかにしてナ・リーグMVPまで登り詰めたのか?
2018年のクリスチャン・イェリッチはキャリアベストと言えるシーズンを過ごし、あわや三冠王も取るのではないかといった成績でナ・リーグMVPを獲得しました。
ここ三年間のイェリッチの成績は以下の通りです。
年 | チーム | リーグ | 本塁打 | 打点 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
2016 | MIA | NL | 21 | 98 | .298 | .376 | .483 | .859 |
2017 | MIA | NL | 18 | 81 | .282 | .369 | .439 | .807 |
2018 | MIL | NL | 36 | 110 | .326 | .402 | .598 | 1.000 |
*黒字はリーグベスト
特筆すべき点はパワーの増加です。本塁打は倍の36本を記録し、長打率は.600近い好成績を残しました。
一方で、パワーを発揮しつつも打率は高水準を維持しました。三振に関しても昨年度とほぼ同水準(2個減の135個)と、ただホームラン狙いの打撃にシフトしたわけではないことが伺えます。
以前と同レベルのコンタクトを維持しつつ、パワーが開花したイェリッチです。
今期のイェリッチについて、MLB Networkでカルロス・ペーニャが彼の打撃のある変化点について取り上げています。
スイングの際のバットの軌道を改善したことにより、より長い間ヒッティングゾーンにバットが残っていることが紹介されています。(0:25~)具体的にはバットの軌道をボールの軌道と限りなく平行に出していることが述べられています。
これにより、昨年度まで逆方向に流し打っていたような球をより前でさばくことが出来るようになり、ホームランの増加に繋がっているそうです。
イェリッチは今季これだけの長打を打ちながらも、打球角度ではリーグ上位に入るような選手ではありません。
昨今話題のフライボール革命ではフライを打つことを意識しホームランを増加させた選手が多い一方、イェリッチはそれとはやや異なるアプローチをしていることが分かります。
イェリッチ自身も、フライボール革命の信者でないことは度々インタビューで述べています。(人によって得意不得意はある為、自身のスイングを無理やり崩すのには反対だそうです。)
ヤクルトの青木も以前、亀梨和也との野球企画で「バットを平行に出すことの重要性」について述べていたような覚えがあります。
「ボールの軌道と平行なスイング」は好成績を残す打者の1つのキーワードではないでしょうか。